画像流体力学解析による動脈塞栓術前後の血流評価
- 公開日: 2024-09-26
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター
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【研究の背景および目的】
内臓動脈瘤は破裂すると死亡率の高い疾患であり、その治療法として血管内治療による塞栓術が選択されることが多くなっています。動脈瘤の形状などにより、動脈瘤のみならず、親血管まで塞栓して治療せざるを得ない症例も少なくないですが、術後の合併症を引き起こす場合もあり、画像に基づく流体力学的解析により、非侵襲的に血管内の血流動態を定量的に評価したり、血行改変術後の血行動態を仮想的にシミュレーションすることができないかと考え、研究しています。
【おもな研究内容】
先進的な画像解析法に基づいて、非侵襲的な血流の評価や血行動態の高精度シミュレーションが可能になりつつあり、four-dimensional(4D)flow MRやcomputational fluid dynamics(CFD)解析Iと呼ばれる技術で、flow rate(流量)やvelocity(流速)、wall shear stress(壁せん断応力)やenergy loss(エネルギー損失)などの様々な流体力学的な定量指標を測定することができる。冠動脈形成術の適応判定のみならず、血行再建術後の血行動態予測にも応用され始めている。
これらの先進的な画像解析法を用いて、内臓動脈瘤の塞栓術前後の臓器血流を定量的に評価し、さらに塞栓術後の側副血行路の発達や臓器血流の回復を正確に予測することで、適切な治療法の決定と術後合併症のリスク低減に役立てることができる、との仮説を立て、現在研究を進行中である。
【期待される効果・応用分野】
4D flowやCFDなどの技術はこれまで主に、心臓や冠動脈、大動脈、脳動脈などに応用が進められ、腹部動脈への応用の報告は、まだ数少ない。特に、内臓動脈瘤に限らず、塞栓術前後の血行動態を定量評価し、術後の側副血行路発達による臓器血流の回復を予測することを目指した研究はこれまでに報告がなく、この技術が確立され、その臨床的有用性が明らかになれば、内臓動脈瘤の最適な治療法選択が可能になり、合併症のリスクを低減することが可能となると思われる。
【共同研究・特許などアピールポイント】
●多施設共同研究による血管画像解析で、内臓動脈瘤の実態解明に取り組んできています。
●血管塞栓に伴う血流変化を多面的に評価する手法を模索するなど、血管塞栓術に伴う研究を行っています。新たな塞栓物質や人工血管開発などへのアドバイスが可能です。
【コーディネーターから一言】
脳動脈瘤同様に破裂すると死亡率の高い内臓動脈瘤に対して、身体に負担の少ない血管内治療(塞栓術)をご研究されています。塞栓物質や人工血管(ステントグラフト)に応用可能な新たな素材の開発を求めています。
研究分野:画像診断、画像化治療(IVR)、内臓動脈瘤
キーワード:4D flow, CFD, MRI
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