顎骨間葉系幹細胞を用いた骨再生剤の開発
- 公開日: 2022-02-07
- 変更日: 2023-01-19
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット
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【研究の背景および目的】
歯周病患者の増加、高齢化に伴い、歯が抜けた後の顎に義歯やインプラントの土台となる骨が不足する患者さんが大勢います。その際は他の健康な部位から骨を採取し移植する自家骨移植や人工骨を使う造骨手術が行われていますが、採骨は侵襲が大きく併発症の不安もあり、人工骨だけでは十分な造骨が出来ません。そこで、我々は体内にある間葉系幹細胞(MSC)を超低侵襲に採取し、そこから増殖・加工した細胞を用いて確実に骨を再生する事が出来る骨再生剤の開発を目指しています。
【おもな研究内容】
1.顎骨MSCの超低侵襲な採取方法の確立と分析
歯を失った顎骨の中には自分のMSCが存在しています。これまで我々は顎のどの部位からMSCを採取するのが良いかの臨床研究を実施しました。そこでどういう細胞であれば、移植した後に骨形成が確実に得られるか、を判定するためのマーカー(CHI-3L1)を見出しました。
2.顎骨MSC移植による骨再生
我々は採取、増殖させたヒトの顎骨MSCと市販の骨補填材(リン酸カルシウムあるいは炭酸アパタイト)を混和し、ラットの頭頂部に移植することで骨が再生することを確認しました。現在は、いかにして効率よく骨を再生させるか、について検討を進めています。
【期待される効果・応用分野】
我々は世界で初めてヒトの顎骨間葉系幹細胞の体外培養に成功しました。現在、最も骨形成が期待される移植材は自家骨とされますが、我々の研究する骨再生剤が臨床応用されれば、自家骨採取を行うことなく、低侵襲で確実な骨再生治療を行うことが可能となります。自家骨採取を敬遠しインプラント治療を断念していた患者さんも、施術を受け入れやすくなります。また将来的に、大規模な骨再生にも応用可能となれば、癌や事故などで骨を失った患者さんへの新たな治療法の提供が期待できます。
【共同研究・特許などアピールポイント】
●歯科関連や製薬会社のみならず、幅広い医療材料関連企業との共同研究が可能です。既に歯科と関連しない企業と共同研究を実施しています。
●AMED、JST、NEDOなどのプロジェクト公募に対して共同で応募可能です。
【コーディネーターから一言】
顎骨再生医療の研究に取組み、複数の特許も取得。顎骨間葉系幹細胞の最適な培養・加工技術による骨再生剤の開発が目標です。実用化を目指し、歯科や医療関連の他、化学・素材など幅広い分野との共同研究が可能です。
研究分野:口腔インプラント学、歯科補綴学、再生医療学
キーワード:骨再生、萎縮顎堤、間葉系幹細胞、顎骨、再生医療、義歯、インプラント
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