動物性繊維を用いてオタマボヤが「ハウス」を建築する原理
- 公開日: 2021-09-29
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット
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【研究の背景および目的】
オタマボヤは世界中の海に生息、バイオマスが2番目に多い動物プランクトンです。自ら作る「ハウス」と呼ばれる袋の中に棲んでいます。ハウスは餌となる海水中のプランクトンを濃縮するフィルター等が編み込まれた、機能的な構造体です。オタマボヤはスペアのハウスを2-3枚折り畳んでまとっており、外側の1枚を膨らませると、わずか数分でハウスの三次元構造が完成します。本研究ではオタマボヤハウスの三次元構造ができるしくみを、「繊維の編み方」を手がかりに探っています。
【おもな研究内容】
◆オタマボヤハウスの形成は、以下の3つのスケールを含んでいます。
(1) セルロース繊維(ナノレベル)=A、
(2) 糸の編み方(マイクロレベル)=B、
(3) ハウスの三次元構造(ミリレベル)、
各スケールに合わせて、実験内容を設定します。
また、数理解析と連携して共同研究を進めることも特徴です。実験(理学)と数理理論(工学)を循環させながら、形づくりの理解を試みて行きます。
【期待される効果・応用分野】
オタマボヤハウスの形成は、他に似た現象自体知られていません。生物学における新しい原理であり、生物の「形づくり」についての新しい理解をもたらす研究と考えられます。これまでに分かってきたハウス形成の原理は、「セルロース繊維の編み方によって立体的な形を決める」というものです。
工業技術としても類を見ないため、応用への可能性を秘めています。私達は実験生物学的なアプローチが中心ですが、数理解析や物性など異分野の専門家と連携して原理を解明したいと考えています。
【共同研究・特許などアピールポイント】
●数理解析の専門家と連携しながら(阪大・京大・明治大など)実験を進めています。
●微細形態・物性の専門家との連携を望みます。
●オタマボヤの実験系は、私達が開発しました。国内外の研究者と共同研究をしています。
【コーディネーターから一言】
脊索動物オタマボヤならではの特徴を活用した研究を開拓中。ハウス形成は、生物模倣技術として工業技術へ応用の可能性があります。
工学系など異分野の研究者との連携を希望します。興味のある方はお問合せください。
研究分野: 発生生物学 形態形成 イメージング 分子生物学
キーワード: オタマボヤ ハウス 繊維 セルロース イメージング ゲノム 遺伝子スクリーニング
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