アルコール・薬物使用障害からの回復支援モデルの開発
- 公開日: 2021-07-27
- 変更日: 2023-01-12
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット
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【研究の背景および目的】
アルコールをはじめとする薬物の有害使用は、心身のみでなく経済的にもダメージを与えることから、世界の健康障害の最大のリスク要因の一つとされています。回復には長い時間がかかり、病院での治療と社会的な支援体制の双方が不可欠です。本研究ではアルコール・薬物使用障害の回復に必要となる要因について、体験者の方や回復支援施設の方々のご協力のもとデータを蓄積しています。精神保健看護学の見地から、科学的データに基づく回復支援モデルを開発することが目的です。
【おもな研究内容】
1.アルコール使用障害を有する女性を対象とした教材の開発
一般的に女性は男性よりアルコールの影響を受けやすく依存の進行も早いと言われており、出産適齢期の女性はアルコールの有害な使用の高リスク者です。若年女性のアルコール関連問題対策として、ライフイベントや生物学的特徴等を考慮した教育的介入が必要となります。アルコール使用障害を有する若年層の女性を対象に、家族や支援者と一緒に読める教材を開発しました。保健所や依存症治療機関の他、学校等での予防教育にもご活用いただいています。
2.自助グループに所属するアルコール使用障害を有する方のリカバリーに関する研究
自助グループに所属するアルコール使用障害を有する方のリカバリー体験を調査した結果、「素面で過ごす際の快の体感」「他者との交流を通した主体的な治療参画」「セルフモニタリングの深化」「自己の存在価値を見出すこと」が回復の要因となると明らかになりました。本研究により、アルコール使用障害の方の回復支援の一つとして、支援者は対象者への理解を深めつつ、対象の好みや嗜好を捉え、日々の生活の中で日常的に快の感覚を得る手段を協働作業で検討していく必要性が示唆されました。
3.薬物使用障害を有する方の生活の質に関する研究
薬物使用障害を有する方の生活の質について調査をした結果、薬物に依存していた生活から脱却した後も、生活のしづらさが継続していることが明らかになりました。回復のためには、治療継続と社会的支援の充実、就労支援等が必要となることが示唆されました。
【期待される効果・応用分野】
アルコール・薬物使用障害を有する方やご家族の方が、地域で安心した環境で過ごせるためのより良い支援を目指し、回復支援モデルを開発・検証しています。アルコール・薬物使用障害を有する方の早期発見・早期介入・回復支援などの手法を探索し、研究成果を発信します。研究成果をもとに、地域のアルコール・薬物関連問題に関する教育への寄与、アルコール・薬物使用障害に対する看護の発展等を目指し、アルコール・薬物使用障害を有する方の回復支援に貢献したいと考えています。
【共同研究・特許などアピールポイント】
●大学、精神科病院、高等学校の養護教員等との共同研究に取り組んでいます。
●アルコール・薬物使用障害について地域の健康教育活動を行っています。
●地域の皆様のメンタルヘルス向上へお役に立ちたいと思います。
【コーディネーターから一言】
社会的支援が不可欠な、アルコール・薬物依存症の回復支援モデルを研究。精神科看護師の経験も長く、メンタルヘルス全般に関する講演・研修会等に協力できます。地域と連携した研究活動を推進します。ご連絡ください。
研究分野:精神保健看護学
キーワード:アルコール使用障害 物質使用障害 レジリエンス リカバリー
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