養殖魚の健康状態を基準とした飼料原料の評価
- 公開日: 2021-06-28
- 変更日: 2022-12-15
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット
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研究の背景および目的
これまで養殖用配合飼料に使用される原料の良し悪しは、主に魚の成長を基準として評価されてきました。しかし養殖魚の健やかな育成を達成するためには、魚自身の健康状態を指標とした原料の選択も重要な課題となります。本研究では様々な原料が養殖魚の健康状態に及ぼす影響を、個体〜体成分までの段階において調べることで、養殖魚の健全な育成に有効な飼料原料および栄養成分の特定を目指しています。健康な魚作りは生残率の向上や病気予防に直結し、養殖業の効率化に貢献できます。
おもな研究内容
養殖魚における飼料原料の影響評価
HPLC・TLC等による成分分析
飼育実験による
育成成績の調査
(個体レベルの影響評価)
試験飼料の設計・作製
器官・組織構造への影響
免疫細胞の働き
タンパク・遺伝子発現および体成分の変化
対象魚種(カンパチ、クルマエビ、マダイ等)
期待される効果・応用分野
養殖用配合飼料に用いられる原料には性能と経済性の両方が求められますが、これらは相反する場合もあります。本研究は魚の生理への影響を基準として、飼料原料の適性を魚種別に評価します。これにより市場に多数存在する飼料原料の中から魚種や成長段階に適した、有効な原料を選択するための情報を提供します。さらに新規原料の機能性の評価や、栄養成分間での相互作用の解明に有効な評価手法を開発します。動物福祉にも配慮した養殖業の発展を飼料面から支えられると考えています。
■共同研究・特許などアピールポイント
●本評価手法を用いた共同研究による製品評価および特許出願の実績があります。
●配合飼料が導入されていない養殖魚種における原料評価にも着手し、論文等で公表しています。
リン脂質及びそれを含む魚介類向け飼料(WO2021/070969)マグロ稚魚用配合飼料(特許5594603号)
コーディネーターから一言
魚の健康を指標に養殖飼料を評価する手法を開発。原料の適性を魚種別に評価できます。過分な給餌や投薬の手間を省き、養殖業の効率化に寄与します。飼料会社の他、化学、食品企業等異業種との共同研究実績も豊富です。
研究分野
魚類栄養学、栄養生理学、飼料学、養殖学
キーワード
養殖飼料、配合設計、成長、生理、健全性
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