肥満における歯周病と歯の喪失との関連性の検討
- 公開日: 2021-06-21
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット
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研究の背景および目的
肥満は炎症性細胞を増加させ、歯周病を悪化させることが分かっています。歯周病が進行すると歯の揺れや脱落を生じ、咀嚼機能が低下します。柔らかい食事が中心の偏った食生活を余儀なくされ、さらに肥満へと繋がる可能性があります。本研究は歯周病と歯の脱落が招く肥満のリスクを分析しています。口腔機能の健康は全身の健康に大きく関連することが、近年の研究で証明されています。適切な歯科治療の提供による、肥満や生活習慣病予防の可能性について検討したいと考えています。
おもな研究内容
肥満と歯周病には深い関わりがあり、肥満による炎症性細胞の増加は歯周病が進行しやすい状態を引き起こします。歯周病が進行すると歯ぐきからの出血や歯が揺れるなどの症状が現れ、最終的には歯が抜けてしまいます。歯を失うと繊維質の食品を噛み切れなくなるため、肉や野菜の摂取量が減り、炭水化物中心の食生活になることが分かっています。つまり、肥満による歯周病の悪化は咀嚼機能の低下を招くことで食生活変容をきたし、より肥満へと繋がりやすい負の連鎖を招く可能性が考えられます。
本研究では歯周病の状態と歯の喪失の関係を複合的に分析し、肥満との関連性を調べることで、歯の喪失が引き起こす肥満への悪影響について検討します。
本研究により歯周病の進行に加えて2本以上歯が
脱落した者は、肥満のリスクが高いことを明らかに
しました。
本研究によって歯周病と歯の喪失と肥満との交互作用が明らかになれば、適切な歯科治療が肥満および生活習慣病を改善することを示せます。特定健康診査や健康診断などのスクリーニング評価時において、歯科健診がより重要なものとなります。以前の研究で舌圧と全身の骨格筋量に正の関連がある可能性を見出しました。口腔機能と同時に栄養や運動習慣など他項目も調査することで、より適切な保健指導が可能になります。医療費・介護費を抑制できる口腔機能の維持・増進を目指しています。
共同研究・特許などアピールポイント
●国内学会での発表を行っています。(廣島屋ら,第70回日本口腔衛生学会総会,2021)
●生活習慣病対策として歯科健診・保健指導に力を入れている企業や自治体等の共同研究先を募集しています。
コーディネーターから一言
口腔機能と全身の健康を疫学研究しています。健康診断に歯科健診を取り入れる企業や自治体と連携し、疾病予防にも繋がる調査を推進することを希望しています。「口の健康がなぜ大事か」の講演も可能です。ご連絡ください。
研究分野
予防歯科学、社会歯科学、疫学
キーワード
歯科、肥満、歯周病、口腔機能
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