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脳卒中からの回復に効果的な運動療法に関する基礎的研究

  • 公開日: 2019-05-13
  • 変更日: 2020-09-25
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(研究の背景および目的)
脳卒中とは、脳の組織が損傷されることで、手足が麻痺したり言葉が話せなくなったりする病気です。我々は脳卒中の患者さんに、麻痺の回復を促す目的で運動療法を行っています。運動を行うことで麻痺の回復が促進される報告は数多く存在しますが、機能回復に関わる脳内物質がその際、どう変化するかは未だよく解明されていません。本研究ではラットを用いて機能回復のプロセスに関わる脳内物質を明らかにし、その発現を効果的に促進する最適な運動刺激を明らかにすることを目指しています。
(主な内容)
脳梗塞モデルの作成運動刺激麻痺の回復組織の摘出免疫染色今回の研究で、動物実験においても行動学的には「棒を渡る」といった目的とする動作を繰り返す方が、トレッドミルのような基本的な運動を行うよりも、早く目的とする動作能力を獲得することが確認できました。次に組織学的な検討をするために、我々はドーパミン神経細胞を保護する機能があり、パーキンソン病の治療薬として期待されてきたGDNF(グリア細胞由来神経栄養因子)に注目。GDNFとその受容体であるGFRα-1、アポトーシス(細胞死)と関連の深いcaspase-3、軸索(*)の伸長と関連のあるGap43、アストロサイト(*)との関連をみる目的でGFAPなどを免疫染色して実験を行いました。結果として、運動機能が著しく改善している時期にGDNFの発現が多くなっており、特に運動することによりGDNFの発現が誘発され、脳の可塑性を促す可能性が示されたと考えています。我々はGDNFとドーパミンの関係から考えて、モノアミン(神経伝達物質)の細胞外濃度の変化がGDNFの発現と運動機能変化に影響すると予測しています。今回の実験結果を受けて、現在は、マイクロダイアリシス法を利用して神経伝達物質、神経栄養因子、行動変化の観点から実験を継続しています。*軸策:神経細胞から伸びる細長い突起で、神経細胞の興奮を伝達する。*アストロサイト:血管と神経細胞をつないで栄養を伝達する脳内細胞。脳梗塞モテ゛ルラットGDNFの発現
(期待される効果・応用分野)
マイクロタ゛イアリシス測定テ゛ータマイクロダイアリシス法=実験動物の脳内に微細なプローブを挿入して脳内物質のサンプリングを行う方法。動物が自由に行動できるため、運動による脳内物質の変化を測定できる・脳卒中麻痺からの回復に、どんな運動が効果的かを脳内物質を指標として見る基礎研究です。回復のプロセスが解明できると、根拠に基づいたリハビリテーション医療の実現が期待できます。楽しい運動がより効果的であることなどを、客観的データで示すことも可能になると考えます。・マイクロダイアリシス法は、神経伝達物質の細胞外濃度変化を連続的に測定できるため、投薬実験も可能です。運動に医薬品を組み合わせて効果を増進する治療法を確立することも期待できます。
(共同研究・特許などアピールポイント)
●介護予防に関する政策も重要な研究テーマです。理学療法士の立場で、基礎から臨床、社会学など様々な視点による、運動療法の効果について検証しています。
(コーディネータから一言)
脳卒中からの機能回復を脳内物質の変化に着目して行う研究です。より効果的な運動療法を実現する助けになります。趣旨に賛同して、一緒に研究できる協力者を求めています。介護予防に関する政策等へのご協力も可能です。
(研究分野)
理学療法学
(キーワード)
運動療法 神経伝達物質 神経栄養因子 マイクロダイアリシス 運動療法

カテゴリ : シーズ(得意な技術・サービス等)
対象エリア: 選択なし
有効期限 : 無期限

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