酵母を用いて細胞膜の柔軟性のしくみを解明する
- 公開日: 2019-05-13
- 変更日: 2023-01-13
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット
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(研究の背景および目的)
生物を形作る個々の細胞を包み込む細胞膜は、リン脂質の二重の層からできています。二重の層は、リン脂質の疎水性部分が合わさってできていますが、通常その部分に二重結合を持っています。この二重結合を持つことによって細胞膜の柔軟性は高まります。ヒトと同じ真核の単細胞生物である酵母を用いて、この二重結合のでき方を科学的に解明することで、生物における細胞膜の役割をあきらかにすることを目的としています。
(主な内容)
細胞膜+二重結合柔軟性酵母において、細胞膜リン脂質に二重結合を導入する酵素の遺伝子を発見しました。この酵素の仲間は、酵母からヒトにいたるまで広く見出されています。酵母では、この酵素と、もう一つの二重結合を導入する酵素を働かなくすると致死することがわかりました。親水性領域OO=P-CH2O-CH2-N+-CH3CH3CH3OCH2CHCH2OOO=CO=C疎水性領域二重結合細胞膜二重結合を持つリン脂質と細胞膜
(期待される効果・応用分野)
動物性油脂には二重結合が少ないため固まりやすくバターなどが製造され、植物性油には二重結合が多いため固まりにくい特性があります。酵母を用いた研究で二重結合のでき方が明らかになれば、細胞膜の柔軟性を制御し、脂質組成が異なる酵母や低温でも働く酵母を作り出すことが可能です。また、酵母は他の生物の細胞の研究に利用できるモデル生物。この研究により動植物の細胞膜の脂質組成を改変するなど、様々な生物の酵素の機能を変える遺伝子情報を提供できるようになります。
(共同研究・特許などアピールポイント)
●酵母の二重結合を脂質に導入する酵素に関する研究は、米国の学術雑誌J.Biol.Chem.に掲載されました。●焼酎酵母の育種への応用もめざしています。
(コーディネータから一言)
真核・単細胞生物である酵母を使って、他の生物の酵素の機能を検証することができます。様々な動植物の酵素の研究者への協力が可能です。低温耐性や新風味を持つ、焼酎酵母の開発にも応用できると考えています。
(研究分野)
醸造微生物学 脂質生化学 細胞分子生物学 発酵・醸造学
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