林地残材等未利用木質バイオマスのエネルギー化に関する研究
- 公開日: 2019-05-13
- 変更日: 2020-09-25
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット
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(研究の背景および目的)
木質系の未利用バイオマスとして林地残材が注目されています。賦存量が大量にあると言われながら林地残材が利活用されていないのは,林業生産活動において森林資源の現状把握や分析が不十分であるため。林地残材が森林の中で、どのような状態で放置されているのかも不明です。特に森林系バイオマスのエネルギー利用には含水率の低下が重要です。森林資源や林業生産活動の分析からバイオマス発生量を明らかにすること,林地残材の野外での乾燥プロセスについてご紹介します。
(主な内容)
地域林業経営の分析:林地残材を発生させる林業生産活動を活性化させるために,木材生産の効率的実施,事業体の経営管理体制,人材養成についての経営分析を行っています。林地残材の野外乾燥に関する実験:林地残材の一部である枝条に注目し,野外での乾燥過程と降雨の影響を取り除くためのビニルシート被覆の効果に関する実験を行いました。スギの枝条を100cm×90cm×20cmの金網に詰め枝条パックとし,それらを上、中、下の三層に重ねて堆積枝条としました。平成16年11月12月の35日間に,ビニルシート被覆した堆積枝条としない堆積枝条の乾燥過程を比較した結果,シート被覆がある場合は初期含水率の115%から35%にまで低下したのに対して,シート被覆がない場合は120%から51%へ含水率が低下したことがわかりました。シート被覆による含水率を低下させる効果は,野外乾燥により枝条の低位発熱量を大幅に向上させることにつながります。また,堆積枝条の地面に近い下層部分での乾燥が難しいこともわかり,林地での堆積の仕方も重要であることがわかりました。端材丸太の野外乾燥に関する実験:バイオマス量としてより多い林地残材は,根元部分の根曲がり端材や先端部分の末木など,丸太状態での残材の乾燥についても,研究を進めています。含水率(%)160シート無140シート有120含100水率(%80)604020シート無シート有51%35%011/911/1611/2311/3012/7シート被覆の有無による含水率減少の経過12/14
(期待される効果・応用分野)
1元来の専門である林業経営の視点から,対象地域の森林資源状況および林業生産活動の資料分析を行い,林業生産活動の結果として発生する林地残材の量的・質的情報を提供できます。2林地への放置年数と気象状況等から,林地残材(末木枝条や端材丸太)の含水率について推定するモデルの構築を進めています。
(共同研究・特許などアピールポイント)
●木質系バイオマス利用は林業生産活動とセットでなければなりません。国内の山村の多くは森林資源を十分に活用できていません。地域の林業を活性化し,森林資源を様々な方法で活用することで,地域振興を図る支援をしたいと考えています。
(コーディネータから一言)
大量の未利用バイオマスである林地残材を活用するための効果的乾燥法を研究。地域の林業を活性化するための効率的な生産活動や経営管理体制、人材育成など経営分析も行います。林業従事者の課題解決を支援します。
(研究分野)
森林経営学 森林計測学
(キーワード)
森林系バイオマス 林業経営 森林系バイオマス 持続可能な森林経営
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