作業とコストを低減できる、イネの種子処理技術の開発
- 公開日: 2019-05-13
- 変更日: 2020-09-25
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット
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(研究の背景および目的)
世界的な農業環境の悪化や農業人口の高齢化などを背景に、いま低コスト・低投入の持続的農業生産の開発が求められています。中でも水稲直播栽培は、苗づくりの手間が省けるため作業時間やコストの削減が可能です。一方で播種後の発芽や苗立ちが不安定なため、一般的な移植栽培に比べ収穫の確実性に欠ける短所があります。本研究はイネ種子の発芽と苗立ちを安定させて、均一に生育させるプライミング処理(*)の技術を開発し、持続可能な農業の発展に貢献することを目的としています。
(主な内容)
プライミング:先に学習したことが、後続の経験を促進することをプライング効果という。作物のプライミング処理とは発芽前に吸水、その後乾燥させてから発芽させること。吸水を促進するため、発芽を速め、生育を安定させる効果がある。発芽前の分化状態プライミ無処理ング処理吸水前の含水率10080無処理プライミング処理無処理出芽時間(h)出芽斉一性向上(811%)6040プライミング処理20出芽時間の短縮681115※値が低いほうが斉一性が大きい。
(期待される効果・応用分野)
005101520培地の土壌含水率(%)※含水率515%が効果が大きいイネの品種に最適な吸水方法をアドバイスできます。すでにトマトやレタスでは実用化、稲作に応用できると大きなコスト削減効果が期待できます。直播だけでなく、移植栽培にも活用できる技術です。1.特別な施設は不要。種もみへの簡易な作業(吸水と乾燥)で、プライミング処理を施せます。2.乾燥から湿潤土壌のいずれにおいても高速発芽と出芽が得られます。3.乾燥種子は芽出しと異なり、長期保存が効くために、冬場の閑散期に播種作業(移植)が可能です。
(共同研究・特許などアピールポイント)
1.誰もが使える簡易な技術です。2.直販栽培だけでなく移植栽培にも利用できます。3.生育が揃うで雑草防除にも効果があり、除草作業の手間もかかりません。4.処理は水のみ、環境に優しい技術です。
(コーディネータから一言)
熱帯農業の専門家として、アフリカでの稲作指導のため開発した技術。特に省力・低コストの水稲直播栽培に、大きな効果が期待できます。農業関連の団体・機関、農家の方との実用化に向けた共同研究を希望しています。
(研究分野)
熱帯農業 持続的作物生産技術 植物嫌気応答
(キーワード)
稲作 アフリカ イネ 光合成 冠水 乾燥 GXE 発芽 不耕起
(ご注意)
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