ダニが媒介する人獣共通感染症に関する研究
- 公開日: 2019-05-13
- 変更日: 2021-07-09
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット
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(研究の背景および目的)
人や動物に病気を起こす病原体の中には、ダニによって運ばれ細胞の中でしか増殖できない、リケッチアという微生物がいます。細菌の仲間であるリケッチアはつつが虫病の病原体など、日本にもいろんな種類のリケッチアがいます。リケッチアによく似たコクシエラという細菌はダニが保有していて、Q熱を引き起こします。安心して生活できる社会環境を構築するために、これらの病原体がどうやって病気を起こすのか、また、病原体を持っている(運ぶ)ダニがどこにいるのかを研究しています。
(主な内容)
【Q熱】は世界中で報告されている病気で、人には肺炎・肝炎・心内膜炎などを、牛・ヤギ・羊などの動物には流産を引き起こします。Q熱を起こす細菌コクシエラが病気を起こすメカニズムをマウスモデルを使って解析しています。宿主側の因子:病巣形成や菌のクリアランスなどに関わる免疫応答(*)について病原体の因子:遺伝子型についてコクシエラを運ぶ可能性のあるマダニの疫学調査を行います。人の生活圏内の動物に寄生するマダニにおけるコクシエラの保有状況調査【つつが虫病】はアジアを中心とする人の病気で、ネズミやツツガムシというダニが関与しています。つつが虫病を起こすリケッチア、オリエンチア(リケッチアの一種)が、病気を起こすメカニズムをマウスモデルを使って解析しています。宿主側の因子:感染抵抗性に関わる免疫応答について病原体の因子:血清型について*免疫応答:体内に侵入または発生した異物(抗原)に対して、免疫細胞が特異的に作用して行われる反応
(期待される効果・応用分野)
Q熱、つつが虫病は治療法がありながら、診断が難しいために重篤化することもある病気です。本研究はマウスモデルを使って、病態発現に関与する宿主因子と病原因子を解明しています。発病のメカニズムがわかると、診断・予防・治療方法などの開発に役立てることができます。特に感染時の免疫応答の解析は、病気を理解するためにとても重要な情報になります。またヒトの生活圏内における病気の発生状況やダニの分布などの疫学調査は、日常生活の中での予防対策に役立ちます。
(共同研究・特許などアピールポイント)
●リケッチアやコクシエラはBSL3病原体(*)であり、生物学的性状解析が困難です。マウスモデルによる感染病態の解析から、貴重な情報が得られます。●学内のダニ研究者と連携しての研究を検討中。新たな展開が期待できます。BSL3:ハ゛イオ・セーフティ・レヘ゛ルは微生物・病原体等を取り扱う実験施設の格付けで、14に分類される。BSL3は4に次ぐ注意が要求される、封じ込め実験室でしか扱えない病原体。
(コーディネータから一言)
南九州はつつが虫病などダニが媒介する感染症の発生が多い地域です。人畜の感染・発症状況やダニの分布・種類などの疫学情報が、予防や診断に役立ちます。様々な分野からのご協力をお願いします
(研究分野)
獣医公衆衛生学 人獣共通感染症学 微生物学 衛生動物学
(キーワード)
公衆衛生 感染症 感染免疫 リケッチア オリエンチア コクシエラ マダニ ツツガムシ
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