都市における循環的因果関係に関する実証分析
- 公開日: 2024-11-01
- 変更日: 2024-11-12
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター
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【研究の背景および目的】
都市は、誰かの計画により形成される場合もあるが、歴史的な偶然により成立し、発展してきているケースがより一般的である。この一般的な現象を説明する理論のひとつとして、「空間的集積の循環的因果関係」が有効である。一定の空間内における複数の経済活動が互いに原因と結果になり、その集中が増加することによっていくつかのタイプが集積し、さらに都市が成長すると考えているこの理論に基づき、地域経済の成長・衰退に関する実証研究を行い、産業間の循環的因果関係を明らかにするのが本研究の目的である。
【おもな研究内容】
・本研究の理論的背景
本研究は、Fujita(2007)を代表とされる「空間的集積の循環的因果関係」を理論的背景とする。この理論について右図のように説明できる。つまり、何らかの理由によりある地域における人口が増加すると、その人口は労働者でも消費者でもあるので、より多くの企業が当該地域に立地する。そして、企業立地が多くなりにつれ、供給される最終財も増加され、人々の実質効用を上昇させることになり、最終的には、当該地域の人口増加につながる。また、循環的因果関係を構成する要素として、「労働者・消費者」以外にも、「最終財を生産する企業と対事業所サービス業」また「イノベーションに関する経済主体」でも考えられる。
・本研究の実証分析
本研究では、地域における産業別従業員数の変化を時系列データを用いて実証分析を行う。具体的には、従業員の増加に関する人口や都市環境など多様な変数をもってモデルを組み、各産業間の従業員数の変化から産業間の因果関係を明らかにする。
【期待される効果・応用分野】
過去に比べると、交通・通信が発展した今日においては、経済活動は全国的ひいてはグローバル化されている。しかしながら、地域ごとの産業パフォーマンスは、たとえ東京圏や中京圏のような大都市圏でさえ異なる点を示している。それゆえ、地域ごとに影響し合う産業群をより精緻に分析することは、地域の活性化にも政策の策定にも重要な意味を持つ。特に、大都市への転出で人口減少がより顕著な地方都市においては、地域産業への分析を通して転出を抑える方法を見出すことが期待できる。
【共同研究・特許などアピールポイント】
●関連分野の研究者との共同研究を希望する。特に(空間)計量経済学、GIS、地域経済学、ミクロ経済学・マクロ経済学・産業経済の専門家と連携して多様な側面からの解釈を強く望んでいる。
【コーディネーターから一言】
経済学者の立場から、都市計画における産業発展・人口維持などに関する政策の策定に有益な助言が提供できる!
研究分野:地域経済
キーワード:集積の経済、産業、空間経済学、計量経済学
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