有酸素運動とRICの組合せによる認知症予防リハの開発
- 公開日: 2023-10-02
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター
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【研究の背景および目的】
高齢化が進み、要介護の大きな原因となる認知症の有病率も増加しています。認知症の治療法の開発が難渋している状況を鑑みても、認知症の発症予防や進行の遅延を目的とした介入方法の開発が求められています。私たちはリハビリテーションの専門家の立場から、有酸素運動と遠隔虚血コンディショニング(RIC:Remote ischemic conditioning)を組み合わせ、ヒトの体に備わっている内因性の神経保護機能を活性化させる新規介入方法の開発と作用メカニズムの解明を行っています。
【おもな研究内容】
私たちはリハビリテーション医学の観点から加齢による認知機能低下の予防・進行を抑制するために、有酸素運動とRICによる内在性脳保護効果のメカニズム解明と最適な介入法について研究しています。
老化モデルマウスを対象に、10週間の有酸素運動は、神経炎症・酸化ストレスの軽減を介して、認知機能低下を抑制することを報告しました。
RICは、腕や大腿を一時的に圧迫・解放することにより、中枢神経に保護効果を獲得させる方法です。我々の研究結果からも、脳梗塞モデル動物に対して、神経保護効果があることが明らかになり、認知症への応用が期待できます。
有酸素運動とRICを組み合わせることにより、認知機能低下の予防・進行抑制対する相乗効果が期待できます。
有酸素運動+RIC→認知症に対する新規アプローチの開発
【期待される効果・応用分野】
認知症の予防には脳内の炎症、酸化ストレスの軽減が重要です。認知機能への運動の効果は分かっていますが、認知症の予防・進行抑制には頻度、時間、強度など一定条件を満たす必要があります。高齢者が条件を満たす運動ができない場合もあります。有酸素運動とRICを組み合わせることで、低強度・短時間の運動でも十分な神経保護効果が獲得できる、と期待して研究に取組んでいます。最低限の負荷で最大の効果を得る介入法を目指し、臨床応用や中枢神経系への展開も視野に入れています。
【共同研究・特許などアピールポイント】
●認知症だけでなく、脳卒中をはじめとした中枢神経系疾患に対する、運動の効果に関する論文を多数報告しています。企業と共同研究を行い、リハビリテーションを軸にした他の治療法との併用に関する研究も進めています。
【コーディネーターから一言】
認知症予防への理学療法による介入法を研究。運動にRICを組合せ、低負荷で効果的な方法を検討しています。高齢者医療に興味ある企業、病院・施設等臨床研究の場などとの連携が可能。症状や目的に合わせた提案もできます。
研究分野:神経科学、認知症、理学療法学、予防リハビリテーション
キーワード:有酸素運動、認知症、RIC、神経保護
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