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鹿児島近現代文学の一次資料調査を中心とした研究

  • 公開日: 2023-09-21
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【研究の背景および目的】
鹿児島の近現代文学と聞くと島尾敏雄や梅崎春生、林芙美子など鹿児島に縁の深い著名な作家がまず思い浮かぶと思います。しかし鹿児島には他にも魅力的な作家は多くいますし、地域の人々が主宰し執筆して作り上げた多様な文芸雑誌が発行されてきた歴史があります。
鹿児島の近現代文学の中でも、これまであまり取り上げられてこなかった側面に焦点を当てて、一次資料に基づく調査を進め、鹿児島の文化遺産としての文芸文化を保存・継承していきます。

【おもな研究内容】
①鹿児島の文芸雑誌文化を研究しています。
 昭和二十年代後半頃から、島嶼域も含め鹿児島の地域文化の豊かさが窺える多種多様な文芸雑誌が数多く発行されてきました。例えば本土では椋鳩十を会長とする『鹿児島文学』、作家有馬繁雄による『南日本文学』、ハンセン病患者の作家島比呂志が主宰した『火山地帯』、島尾敏雄が「夢日記」を寄せ、本学の渡辺外喜三郎名誉教授が編集に携わり、様々な立場の書き手が集まった『カンナ』などがあります。
 奄美には、詩人進一男が創作を寄せていた『地点』、奄美和光園が発行した『和光』などがあります。他にも鹿児島の文学を担ってきた草の根の作家たちによる、これまで正当に評価されてこなかった優れた文学作品が眠っています。それは同時にその時代の鹿児島の風土や地域の人々の暮らしや思いが読み取れる貴重な資料でもあります。
しかし、これらの雑誌は現在、所在が不明であることが多いです。

②鹿児島出身の作家の、書簡や原稿といった一次資料調査に基づく研究を行っています。
 沖永良部島出身で主に戦後昭和期に活躍し「青幻記」で太宰治賞を受賞した作家・一色次郎、日置郡吉利村出身の大正・昭和戦前期の翻訳家・寺田鼎、旧制七高出身の推理小説評論家・中島河太郎など鹿児島出身の作家の、書簡や原稿など一次資料に基づく研究を行っています。本研究では、鹿児島の近現代文学に関わる一次資料を収集・整理・保存し、雑誌については目録・総目次・索引などを作成し、データベース化を推進することで、鹿児島の貴重な文化遺産である文芸文化を後世に残します。

【期待される効果・応用分野】
知名度が低い作家についての研究は、あまり進んでいません。多種多様な文芸雑誌や同人誌等は所在不明の号も多い現状です。しかし草の根文学には、鹿児島の文化や暮らしの知られざる側面が描かれています。作家の一次資料や文芸雑誌という鹿児島の重要な文化遺産が散逸してしまわないよう、収集・整理・保存しデジタル化を進め、同時に目録・総目次・索引などを作成して活用を促進します。<鹿児島の近現代文学>という固有の遺産を後世に継承し、その価値を県内外に発信していきます。

【共同研究・特許などアピールポイント】
●ご自宅や地域に文芸雑誌や同人誌、文集等や近現代文学の一次資料(書簡・原稿等)があれば、ご一報ください。整理や学術調査を行うことができます。
●創作・編集など文芸活動を行っていた方、行っている方は、ぜひインタビューをさせてください。

【コーディネーターから一言】
自宅や地域に鹿児島の文芸雑誌や作家の一次資料等があれば、是非ご連絡ください。専門の日本近現代文学、ミステリに関する講演・セミナー等にも対応します。文学の魅力、鹿児島文学固有の魅力をわかりやすく伝えます。

研究分野:日本近現代文学、鹿児島の近現代文学、探偵小説、ミステリ
キーワード:文芸雑誌、一次資料、書簡、原稿、草稿、一色次郎、寺田鼎、中島河太郎

カテゴリ : シーズ(得意な技術・サービス等)
対象エリア: 国内 / 南九州 / 南西諸島域 / その他地域
有効期限 : 無期限

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