絹製品へのCNFの利用に関する研究
- 公開日: 2020-10-20
- 投稿者:鹿児島県工業技術センター 企画支援部
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概要
絹製品の色や繊維の耐久性向上を目的として,樹脂系薬剤処理におけるセルロースナノファイバー(CNF)の添加効果を調べました。その結果,顔料染色の摩擦堅牢度向上や絹繊維の湿潤状態の摩擦により生じる繊維の毛羽立ち(スレ)抑制効果が向上することがわかりました。
■顔料染色の摩擦堅牢度向上処理
顔料染色に使用するバインダー(アクリル樹脂系薬剤)にCNFを添加することで,生地の固さはほとんど変化せず,摩擦堅牢度が向上(最もよい結果において1等級向上)することがわかりました。
◆ 処理工程
生地前処理→顔料染色(鹿児島産粘土)→バインダー処理に4種類のCNF(1~4)をそれぞれ添加
◆ 評価
摩擦堅牢度試験(表1,図1)/摩擦による色落ち程度を評価
剛軟度試験(図2)/生地の固さの評価
■スレ抑制処理
スレ抑制に使用される水性ウレタン樹脂系薬剤にCNFを添加することで,生地の固さはやや固くなりましたが,スレ抑制効果が向上することがわかりました。
◆ 処理工程
大島紬生地を使用し,市販スレ抑制処理剤にCNF1を0.05,0.1,0.2,0.5%となるように添加
◆ 評価
マイクロスコープ観察(図3)/スレ発生程度を評価
剛軟度試験(図4)/生地の固さの評価
いちおし
樹脂系繊維加工剤へCNFを添加することにより,樹脂の被膜が強化され,堅牢度向上やスレ抑制の効果が上がることがわかりました。
キーワード
セルロースナノファイバー(CNF),絹,繊維加工
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