鹿児島県産食材の価値を高める「食と健康プロジェクト」
- 公開日: 2020-07-07
- 変更日: 2022-12-12
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット
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(研究の背景および目的)
鹿児島県は、温帯から亜熱帯の気候と島嶼圏を擁する豊かな自然に恵まれ、日本における食糧供給の重要拠点です。現在の日本は生活習慣病やフレイルに代表される老年症候群の発症例が増大しており、質の高い食事による生活改善が求められています。私たちは大学内、学外研究機関、企業等と「食と健康プロジェクト」を組織して、鹿児島県産食材の健康機能性について研究しています。鹿児島県産農水産物の価値向上と食育活動の推進、食による健康的な生活の実現を目的としています。
(おもな研究内容)
黒膳プロジェクト
「鹿児島大学黒膳研究会」を組織して、鹿児島県産食材の機能性解析と高機能化メニューを作成。使用食材・栄養素・ポリフェノール量などの黒膳条件に則って研究会が監修、㈱城山ストアーが製造・販売した「薩摩黒膳弁当」は鹿児島中央駅で人気の駅弁となっている。全国スーパーマーケット協会主催お弁当お惣菜大賞2019弁当部門優秀賞(6509件中2位)を受賞した。
黒糖焼酎・芋焼酎プロジェクト
長寿者の多い奄美地域で作られる、黒糖焼酎の機能性に着目した。芋焼酎や黒糖焼酎に、老化を抑え健康長寿を促進するホルモン「グレリン」と同様の働きをする物質(グレリン様物質)が含まれていることを発見。本学焼酎・発酵学教育研究センター、国立がん研究センター、クラシエ製薬漢方研究所が成分分析に取組み、物質の特定に成功した。グレリンは、長寿遺伝子サーチュイン1と脳内神経ペプチドYを活性化し老化を抑制する作用がある。ヒト腎由来培養細胞にグレリン受容体を発現させた細胞系において、グレリンは濃度依存的に電気抵抗値が増加する。黒糖焼酎・芋焼酎に含まれる匂い成分の一種が、グレリンと同様に作用する抗老化物質であることが研究により証明された。
(期待される効果・応用分野)
・黒膳プロジェクトでは人気商品の実現に成功、鹿児島県産食材の価値向上に貢献しました。今後も連携先を広げ、需要の増大とともに健康増進、生活習慣病や老年症候群予防への一助を目指します。
・黒糖焼酎・芋焼酎プロジェクトでは、黒糖焼酎・芋焼酎に含まれる成分に老化抑制効果があることを証明しました。特定した抗老化物質を用いた機能性食品、栄養補助食品およびサプリメントの開発が可能です。県産の黒糖焼酎・芋焼酎に新たな価値が加わったと考えています。
(共同研究・特許などアピールポイント)
●「食と健康プロジェクト」は、鹿児島大学の複数学部・民間企業・日本各地の他大学・研究機関等と連携して鹿児島の食に関する研究を進めている。
●グレリン様物質に関しては、現在特許出願中。
【グレリン受容体の活性化剤】特開2021-107358
(コーディネーターから一言)
「食と健康プロジェクト」は鹿児島県産食材の機能性を分析し、価値向上と需要拡大を狙う研究。学際的な研究による新たな成果を求めるとともに、商品開発にも取り組んでいます。今後の展開にもご注目ください。
(研究分野)食品機能学
(キーワード)食品機能性、健康長寿
(ご注意)
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