赤米抽出物には二日酔い防止・回復に効く作用がある
- 公開日: 2020-03-18
- 変更日: 2020-09-26
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット
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(研究の背景および目的)
日本の酒は文化そのものです。適度な飲酒は食欲増進、ストレス解消などの効果があります。一方で過度の飲酒は顔面紅潮、頭痛、眠気、吐気などの悪酔い、二日酔いの症状を引き起こすだけでなく、肝臓障害や膵臓炎などの症状を引き起こす可能性もあります。鹿児島県の種子島に伝承される赤米は熱帯ジャポニカ型と呼ばれるもので、黒米(紫黒米)よりも高い抗酸化活性を示します。私たちは赤米の抽出物の機能性を研究し、酒酔い防止・回復用組成物としての有用性を確認しました。
(おもな研究内容)
赤米抽出物の抗アルコール作用をマウスで検証
1)赤米からの抽出方法
赤米からの抽出成分の回収率
40gのJA赤米から4.43gの抽出物が出来る
2)赤米抽出物の飲酒後の睡眠時間に対する作用
赤米投与群の睡眠時間が有意に短縮した。
3) 血中エタノール濃度の測定
赤米投与群において、血中エタノール濃度の低下がみられた。赤米投与量の増加に伴い、濃度依存的に血中エタノール濃度は低下する。
4) 血中エタノール分解酵素活性の測定
赤米投与群は血中エタノール分解酵素活性が亢進した。
(期待される効果・応用分野)
赤米は古代米と呼ばれ、種子島には赤米の栽培を伝承する宝満神社があります。私たちは赤米に含まれる機能性物質を探索する中で、赤米由来の抽出物が高いアルコール分解酵素の促進作用を示し、血中アルコール濃度を低下させる作用を有することを見出しました。赤米由来の抽出物は酒酔い又は二日酔いの防止や回復のために有用であると言えます。赤米の有効成分を利用して、二日酔いを防止・改善する機能性食品等の開発が期待でき、種子島の地域振興にも寄与する可能性があります。
(共同研究・特許などアピールポイント)
特許第6472192号:「赤米抽出物を含む酒酔い又は二日酔い防止・回復用組成物」(登録日平成31年2月1日)
(コーディネーターから一言)
種子島に伝わる赤米由来の抽出物の機能性を探索。二日酔い治療効果があることをマウスで確認、特許を取得しました。現在、興味を持った企業とサプリメント等の開発を目指して、さらに検証を進めています。
(研究分野)
肝機能障害、摂食行動、摂食障害、シグナル伝達
(キーワード)
アルコール、脂肪肝、メタボリックシンドローム、漢方
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