高齢者の心身機能の維持・向上と介護予防に関する研究
- 公開日: 2020-02-07
- 変更日: 2020-09-25
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット
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(研究の背景および目的)
高齢化の進展のなか、高齢者が住み慣れた思い入れのある地域で、安心して自立した生活ができる方策が望まれています。加齢に伴う心身機能の衰えにより、認知症や要介護になるリスクが増えます。本研究では、これらの予防や改善のため、超高齢地域である鹿児島県垂水市と協働で、地域高齢者の心身機能に関する科学的データを蓄積しています。科学的根拠に基づき、加齢によるリスクの要因を探ること、心身機能の維持・向上に対して効果的な運動介入方法を開発することを目的としています。
(おもな研究内容)
●地域(垂水市)と協働で実施する健康チェック
垂水市と鹿児島大学が協働して、地域高齢者の包括的な健康チェック(たるみず元気プロジェクト)を実施しています。2017年度からスタート、2019年度の受診者は1028名でした。検査項目は問診・心電図・身体機能・身体組成・認知機能・口腔・栄養等、当研究室では運動・認知部門を担っています。心身機能が低下した状態であるフレイル(虚弱)やサルコペニアなどのスクリーニングを行い、そのリスク要因に対する分析等を行っています。健康チェックは、毎年同規模で継続していきます。
●運動介入による効果的なプログラムの開発
2019年度は、前年度の健康チェック参加者の中からサルコペニア(筋力低下・筋肉減少)に該当した方を対象に、3か月間の運動介入プログラムを実施しました。筋力・バランス・有酸素・ストレッチからなるトレーニングメニューを週1回60分実施し、自宅でも続けて頂きました。対照群と比較して、運動パフォーマンスの向上が認められました。負荷の異なるチューブを使用することで、個人の能力に合わせて段階的に負荷を調整でき、自宅でも安全に運動を続けることができます。
(期待される効果・応用分野)
高齢化による心身の機能低下は認知症や要介護につながる全国共通の課題です。健康長寿の実現には運動促進、知的活動、社会参加の3要素が必要。本研究は、加齢に伴う心身機能低下のリスク要因を様々なデータから分析することで、高齢者に対し最適なアプローチを提案することを目指しています。開発した運動プログラムは汎用性があり、地域や介護の現場で実施可能なものです。健康増進や心身機能の向上・低下予防に寄与することが期待でき、介護費用等の適正化につながると考えています。
(共同研究・特許などアピールポイント)
●フレイル予防や認知症予防に関し、理学療法領域から調査や介入研究を行っています。国立長寿医療研究センター、企業等との共同研究を実施。健康補助食品の評価、高齢者の安全運転の延伸や介護・医療費抑制に関する研究等も行っています。
(コーディネーターから一言)
高齢者を対象とした調査研究・運動介入を通じて、機能低下を予防し健康寿命の延伸を目指す研究。ヘルスケアに携わる様々な企業や機関と共同で、発展的研究や社会実装に向けた手法の開発に取組みます。ご相談ください。
(研究分野)理学療法学、老年健康科学、疫学
(キーワード)高齢者、加齢、身体機能、認知機能、フレイル、サルコペニア
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