廃糖蜜を原料としたバイオ燃料の開発
- 公開日: 2019-05-27
- 変更日: 2021-01-21
- 投稿者:鹿児島県工業技術センター 企画支援部
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サトウキビ製糖の副産物である廃糖蜜は,未回収の糖類が含まれていますが,高濃度のカリウムを含むことから有効活用されてきませんでした。NEDO事業の一環で行った本研究では,廃糖蜜からカリウムを除去し,カリウム除去後の糖液を原料としてバイオ燃料へ変換する技術開発を行いました。
廃糖蜜に含まれるカリウムを硫酸カルシウム・カリウム塩として除去し,カリウム除去後の糖液を水熱処理により5ーヒドロキシルメチルフラール(5-HMF)等に変換後,ゼオライト触媒を用いてバイオ燃料(芳香族化合物等)へ改質(変換)する実験を行いました。
[廃糖蜜中のカリウム除去/水熱処理]
図1に示す方法でカリウム除去を行った結果,廃糖蜜中のカリウムの74%(32%+42%)を除去することができました。続いて,カリウム除去後の糖液を水熱処理し*) ,触媒改質反応の原料としました。この時,水熱処理後のエーテル抽出サンプル(水熱処理液)には,50ppmのカリウムと改質反応のターゲット物質5-HMFが60%含まれていました。(*(独)産業技術総合研究所へ依頼)
[水熱処理液を原料とした触媒改質反応]
図2に示す方法で水熱処理液の触媒改質反応を行った結果,カリウム除去後の糖液からバイオ燃料(液体燃料)を得ることができ,そのうちの約2割(20.6C%)が油状成分でした(表1)。
○いちおし
簡便な方法で,廃糖蜜からカリウムを除去する方法を考案しました。また,カリウム除去後の糖液からナフタレンを主成分とするバイオ燃料(液体燃料)の製造に成功しました。
○キーワード
サトウキビ,廃糖蜜,水熱処理,ゼオライト触媒,バイオ燃料
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