固体発酵から液体発酵へ クエン酸麹菌の可能性
- 公開日: 2019-05-27
- 変更日: 2021-01-21
- 投稿者:鹿児島県工業技術センター 企画支援部
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本県では昭和28年から麹菌固体発酵法によるクエン酸の製造が行われ,清涼飲料水や洗浄剤などに使用されています。本研究では,麹菌液体発酵法による,より付加価値の高い果汁酸味料を開発し,肉を軟らかくする効果を確認しました。また,副産物である麹菌体から,N-アセチルグルコサミン(NAG)など機能性糖類を生産する基本技術を開発しました。
■果汁を原料とした麹菌の液体発酵
ブドウ果汁を用いた2kL規模の液体発酵試験を行い,クエン酸は培養3日ほどで目標の3%に達しました(図1)。酵素活性は培養2日ほどで最大となりましたが,その後-アミラーゼは減少し,プロテアーゼは活性を維持しました。
このプロテアーゼは,加熱殺菌しても活性が残存したことから,肉を軟らかくし旨味を引き出す付加機能を持った調味料への展開が期待できます。
■麹菌体からの機能性糖類の生産
熱水アルカリ抽出法により麹菌体に含有するNAGの濃縮を試みたところ, -グルカンが除去されたことにより麹菌体よりも2倍程度濃縮されました(図2)。また,酵素処理によりNAGの回収を試みたところ,酵素①ではNAGの純度が50%,麹菌体に含まれるNAGの71%にあたる量を回収できました(表1)。
一方,甲殻類由来キチンからNAGを生成させた場合の回収率は酵素①で20%でした。このことから,麹菌体キチンの酵素分解性は非常に高く,NAG生産の出発原料として優れていることを明らかにしました。
○いちおし
クエン酸麹菌の液体発酵により,果汁酸味料やN-アセチルグルコサミンなど付加価値の高い製品の製造技術を開発しました。
○キーワード
クエン酸,グルコサミン,麹菌,液体発酵,健康機能性
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