大脳皮質gap junctionネットワークによる神経回路形成
- 公開日: 2019-05-13
- 変更日: 2020-09-26
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット
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(研究の背景および目的)
脳の神経細胞は、シナプスとgap junction(GJ)という2種類の細胞間結合でネットワークを構成しますが、成熟した大脳皮質では興奮性細胞はGJを持たないことがわかっています。私は、生後間もないマウスにおいて、興奮性細胞がGJによる精密なネットワークを持つことを発見しました。このGJネットワークは生後2週に消失しますが、同時期にシナプス形成が始まることから、大脳皮質の精密な神経回路の形成に重要な役割を持つ可能性があります。この可能性を実験で明らかにします。
(主な内容)
GJネットワークを人為的に操作したマウスで、神経回路や行動の変化を解析します。
生後2週の神経回路形成の解析
行動や脳波の解析 自閉症やてんかんなどの表現型が見られるか?
(期待される効果・応用分野)
GJとてんかんとの関連は強く示唆され、GJの阻害剤はてんかんの治療に用いられています。また、GJネットワークが大脳皮質のシナプス回路の形成に重要であった場合、その機能異常は自閉症などシナプス異常に起因する精神疾患につながる可能性があります。GJ機能を人為的に操作したマウスの解析から、GJネットワークと精神疾患との関連を調べ、さらに疾患に関係する神経回路異常を明らかにすることで、精神疾患の発症機序の一端を解明できると考えています。
(共同研究・特許などアピールポイント)
●大脳皮質GJネットワークの発見を記載した論文はサイエンス誌に掲載されました(Maruoka*, Nakagawa* et al., Science 2017)。
●理化学研究所と共同研究を行っています。
●精神疾患の発症機序解明および予防や治療につながる研究を目指します。
(コーディネータから一言)
大脳皮質の神経細胞にGJネットワークを発見、神経回路形成への役割を探ります。医師・研究者の協力を得て精神疾患との関連を調べ、予防や治療に繋げることが目標。基礎と臨床の橋渡しになる可能性がある研究です。
(研究分野)
神経生理学、神経形態学、精神疾患
(キーワード)
大脳皮質回路発達、gap junction、てんかん、自閉症
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