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「からだ」と「こころ」を繋ぐ食欲の脳科学

  • 公開日: 2019-05-13
  • 変更日: 2020-09-25
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(研究の背景および目的)
楽しい食生活は、食べ物がもたらす心地よい刺激と空腹感などの体の状態が協調して作られています。しかし何らかの原因でそれらのバランスが崩れると、お腹が空いていないのに食べ物を口に入れたくなる食パターンが肥満等の病気を引き起こすことや、空腹なのに食べられない障害に陥ることがあります。私たちは、脳の中で食べ物の情報と体の情報を統合している領域視床下部に、健康的な食生活を維持するメカニズムが潜んでいるのではないかと考え、その解明に取り組んでいます。
(主な内容)
(1)大脳皮質の特定の領域に、摂食行動や食欲を調節している部位があるかどうかを、マウスを用いて、行動薬理学的に調べています。私たちのグループは、低ストレス状態での長時間行動観察を行えるシステムを導入。細かな行動反応の変化も見逃しません。(2)大脳皮質の特定の領域のみの神経活動を亢進・抑制させることで、マウスの摂食行動との因果関係を徹底的に調べ、大脳皮質を介した摂食調節神経回路を明らかにしていきます。この実験には、オプトジェネティクスの技術を活用しています。(3)外界と体内の情報が統合されることで、どのように摂食行動は調節されているのでしょうか。私たちは、より客観的な体内状態の指標を得るため、摂食行動を予測させるような生体反応も探索しています。オプトジェネティクス:光を使う技術と遺伝学を組み合わせた研究分野。神経細胞に光を照射してその働きを操作したり、蛍光色素を神経細胞に導入して活動の様子を可視化できる。
(期待される効果・応用分野)
オプトジェネティクス:光を使う技術と遺伝学を組み合わせた研究分野。神経細胞に光を照射してその働きを操作したり、蛍光色素を神経細胞に導入して活動の様子を可視化できる。美味しく楽しい食パターンを維持するためには、食物を吟味することと同様に、脳の中にある摂食行動の調節メカニズムを理解することが必要になると考えています。この神経メカニズムの解明によって摂食行動に起因する病気の新しい診断基準や、治療ターゲットの有用な情報が得られるはずです。ダイエットや肥満治療、疾病・加齢等による食欲低下の改善策への応用が可能です。私たちが用いる客観的な食欲測定法は、新たな食育や多くの人に好まれる食品開発等にも役立つと期待されます。
(共同研究・特許などアピールポイント)
●生理学、神経科学、行動科学といった複数の側面から、より生命現象の本質に迫ることを目指しています。鹿児島大学内のみならず、国内外の研究者との共同研究を通して推進しています。
(コーディネータから一言)
食欲を増進・抑制する脳内のメカニズムを解明するための研究。食欲を制御する方法や物質を探索しています。機能性があって美味しい食品や療法食の開発に協力できます。脳科学から食欲等を解説するセミナーも可能です。
(研究分野)
神経科学 神経生理学 動物行動学 食環境学
(キーワード)
食欲 食欲 大脳皮質 神経システム

カテゴリ : シーズ(得意な技術・サービス等)
対象エリア: 選択なし
有効期限 : 無期限

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