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マダニの抗微生物ポリペプチド ~抗菌剤など新用途開発に向けて~

  • 公開日: 2019-05-13
  • 変更日: 2021-08-20
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(研究の背景および目的)
マダニはSFTS(重症熱性血小板減少症候群*)ウイルス等のウイルス、リケッチャ(細菌の一種)、ピロプラズマ原虫などの病原体を媒介し、人や家畜に甚大な被害を及ぼす最大の害虫です。強力な病原体の媒介者であるマダニは、進化の過程で病原体への抵抗性を確立したと想定されます。我々はマダニが持つ病原体への防御機構に着目し、生物活性分子に含まれる自然免疫関連分子を単離しました。この分子「HEディフェンシン」の機能を抗ウイルス・抗菌剤や医薬品へ活用することを目指しています。重症熱性血小板減少症候群(SFTS):マダニに媒介される感染症の一つ。発熱、嘔吐、下痢の他、頭痛、皮下出血等を起こす。国内でも毎年発生が報告され、死亡例もある。
(主な内容)
マダニのHEディフェンシン(抗微生物ポリペプチド)を用いて新規の抗微生物剤の開発基盤を確立する本研究はフタトゲチマダニのヘモリンフ(体腔液)由来ディフェンシン(=抗微生物ポリペプチド)を同定し、その効果を調べた⇒ 抗ウイルス活性、抗菌活性、抗原虫活性と幅広い 抗微生物スペクトルを持つことが判明。  医薬、動物医薬、農薬分野における感染症の治療・予防に応用できる可能性を有する。マダニヘモリンフ由来(HE)ディフェンシン構造は・・・アミノ酸数:74分子量:8150等電点:9.48ジスルフィド結合:3ヶ所主な機能として・・・抗ウイルス作用抗菌作用抗原虫作用(特願2016−145509)(A)無添加群細菌が破壊された像HEディフェンシン添加群(B)ウイルスのプラークなしHEディフェンシンは食品腐敗の原因菌であるミクロコッカス菌(A)やダニ媒介性脳炎のモデルとなるランガットウイルス(B)に対して抗微生物活性を示した
(期待される効果・応用分野)
我々が同定した抗微生物ポリペプチド=HEディフェンシンとその活用は、特許出願中です。本研究成果から抗ウイルス・抗菌マスク、抗菌スプレー、マウスウォッシュ、食卓用除菌スプレー等への利用が検討できるため、認可が簡易であることも期待されます。またHEディフェンシンから抗微生物活性が強力なペプチド部位を特定できると、その低分子ペプチドは免疫原性を持たず消化酵素に耐えうると予想されます。体内に長期間残存し、感染防御効果が持続する医薬品開発も可能と考えています。
(共同研究・特許などアピールポイント)
●約8万種のマダニ遺伝子ライブラリを作成し、マダニ媒介性疾病の予防・治療薬等の開発研究を推進しています。マダニは新規薬理分子の宝庫です。●学内外の専門家と協力して、マダニ媒介性疾病の病原体を検出する疫学研究も行っています。●マダニを用いた殺ダニ剤のアッセイ系もあります。
(コーディネータから一言)
独自のマダニ遺伝子ライブラリーにより、新規な抗微生物ポリペプチドを同定。抗ウイルス・抗菌剤としての展開が可能です。マダニの防御機構は薬理分子の宝庫、医薬品や衛生用品の開発に活かす共同研究先を求めています。
(研究分野)
感染症学 タンパク質機能化学 免疫学 医学 獣医学 分子生物学
(キーワード)
マダニペプチド マダニ 抗微生物 ウイルス 細菌 原虫 ディフェンシン 自然免疫 ペプチド 新規創薬 生物活性分子

カテゴリ : シーズ(得意な技術・サービス等)
対象エリア: 国内 / 南九州 / 南西諸島域 / その他地域
有効期限 : 無期限

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