ES/iPS細胞での再生療法(腫瘍化を克服する技術)の開発
- 公開日: 2019-05-13
- 変更日: 2024-09-17
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット
- お気に入り件数:0
- 閲覧数:531
(研究の背景および目的)
難治性疾患への革新的な治療法として、ヒト多能性幹細胞(ES細胞・iPS細胞)から体外で心臓における心筋細胞等の目的細胞を創り、細胞移植する再生医療の開発が期待されています。その臨床化実現のために解決すべき最重要課題は移植細胞の腫瘍化の問題。つまり残存未分化細胞による奇形種(目的以外の細胞が混在)やiPS細胞からの癌化の克服なしには、安全性が確保できず臨床化は困難です。我々は遺伝子治療研究で培ったベクター・発現技術を基盤に「幹細胞の腫瘍化を克服する独自技術」を開発しました。この技術を中心に、オリジナリティーの高いES/iPS細胞の研究を進めています。
(主な内容)
*1:目的の臓器/組織に限定して遺伝子のスイッチが入るようにできる塩基配列*2:遺伝子の運び屋として遺伝子改変したウイルスで、優れた遺伝子導入機能を持つ(1)ACT-SC(Adenoviralconditionaltargetinginstemcell)法によるES/iPS細胞由来の目的細胞の高純度単離・非腫瘍化技術目的細胞を単離するには、多くの場合、組織特異的プロモーター*1で蛍光蛋白を発現する細胞株を創る方法しかありませんでした。これは多大な労力と時間を要するうえに全く機能しない場合も多く、応用研究を妨げる最大の障害でした。我々はこの原因が組織特異的プロモーターの低活性にあることを見出し、いかなる目的細胞でも簡単・確実・迅速・高純度に選別単離できるACT-SC法を開発しました。本法は、アデノウイルスベクター*2を用いて、ES/iPS細胞に2種類の遺伝子構築を導入し、簡単(培養液に添加)、高効率(100%まで)に、目的細胞だけに蛍光蛋白を強発現させることができます。組織特異的プロモーターを自在に変更することで、あらゆる目的細胞を同定・可視化・単離できる初めての標準化単離技術です。(2)腫瘍化を阻止する新たなバイオ技術の開発と、他のES/iPS細胞の研究現在、iPS細胞の癌化抑制の試みはリプログラミング法の改良が主体となっていますが、この間接的な腫瘍抑制のみで臨床応用可能なレベルの安全性が達成できるかは疑問です。我々は「直接的に腫瘍抑制・除去する技術」という、他とは全く違う観点からの技術開発を行い、ACT-SC法の応用に加え、さらにオリジナルのバイオ技術を開発しています。また分化誘導においても心筋細胞、神経細胞など様々な研究を進めています。
(期待される効果・応用分野)
ES/iPS細胞から目的細胞だけを単離することは、創薬での毒性・薬効試験への応用、「他細胞種混在と腫瘍化の克服」の点から再生医療応用に必須の最重要課題ですが、標準化技術が未確立でした。ACT-SC法は様々な目的細胞の同定・単離を簡単、効率的に行うことが可能な初めての標準化技術で、ES/iPS細胞の全領域の研究と応用(事業化)に貢献します。また「iPS細胞由来の癌化」は再生医療応用を拒む最大の問題であるため、これを直接解決するオリジナル技術の開発も進めています。
(共同研究・特許などアピールポイント)
●ACT-SC法(1)はMolTher2006に発表(&同表紙、ニュース)特許は国内成立(特許第4624100号)●腫瘍化阻止の新技術(2)は、特許第6037393号・W02012/133674、特許第6264670号●本領域の心筋分化や神経の研究はCircJ2004(&表紙)やBrainRes2010)などに発表*共同研究や事業化パートナーの企業を募集中
(コーディネータから一言)
ES/iPS細胞から様々な目的細胞を単離する標準化技術ACT-SC法]を開発。ES/iPS細胞の実用化に大きく寄与できます。創薬や再生医療への応用に向けて、興味のある研究者や企業等との提携や共同研究を求めています。
(研究分野)
再生医学 幹細胞生物学 腫瘍学
(キーワード)
再生医学 ES細胞 iPS細胞 アデノウイルスベクター 単離技術 細胞移植療法 ACT-SC法
(ご注意)
◯ コメントは公開されます。秘密情報の取り扱いには十分お気をつけください。◯ 非公開で投稿者と連絡を取るには、右の[個別メッセージ]機能を利用して下さい。
個別メッセージ
ニーズ・シーズ投稿者と個別のメッセージ交換を行えます。
関連するニーズ・シーズ
-
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット
- お気に入り件数:0
- 閲覧数:484
構造形態の発想を広げる発想支援・設計支援システムの開発
シーズ(得意な技術・サービス等) 2019-05-13(研究の背景および目的) プランの決定や作業の手順で、人は意識しなくても一番良い解を探す方法をとります。こうした解の探索を最適化と言い、数理的手法で最適化を行うと一番良い解=大域的最適解が選ばれます。しかし構造形態のようにデザインが重要な課題の場合、大域的最適解は面白くない答えになりがちです。本研究は条件を満たし、かつ比較的評価の高い優良解を探索する数理的方法の構築です。多様な優良解がユーザ(設計者)の発想を広げ、発想支援・設計支援を行うシステム開発が可能になります。 (主な内容) 条件をクリア...
-
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット
- お気に入り件数:0
- 閲覧数:723
体力と肥満度を組み合わせた新指標(FFI)と健康関連QOL
シーズ(得意な技術・サービス等) 2019-05-13(研究の背景および目的) 寿命が長くなって、身体的および精神的な健康関連QOL(生活の質)に対する関心が高まっています。しかしながら、「体力(fitness)」と「肥満(fatness)」のバランスが心身の健康にどう作用するかに関する知見は少ないのが現状です。本研究は私たちが作成した新しい指標(FFI:Fit-fat指数)と心身の健康の関連を検証することを目的としています。 (主な内容) ライフスタイル要因と良好な精神的健康関連QOLの関係オッズ比3体力(全身持久力)ウエスト周最大血圧飲酒習慣ウ...
-
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット
- お気に入り件数:0
- 閲覧数:1213
クラウン系ミニブタにおける体細胞クローン技術の確立
シーズ(得意な技術・サービス等) 2019-05-13(研究の背景および目的) 鹿児島大学で開発・維持されているクラウン系ミニブタは、我が国唯一の近交系ミニブタです。本研究は、遺伝子を改変したクラウン系ミニブタを作出し、医学・生物学の分野で広く活用できないかという課題から始まりました。現時点で遺伝子改変動物を得る最も現実的な方法は、遺伝子改変した体細胞の核を除核未受精卵に移植してクローンを作出することです。このような背景から、私たちはクラウン系ミニブタの体細胞クローンを作出する技術を確立しました。 (主な内容) 活性化は、クローン胚の発生を誘起する...