金属イオンを用いて青色の花を咲かせる花色の改変法
- 公開日: 2019-05-13
- 変更日: 2021-08-10
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット
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(研究の背景および目的)
植物は様々な金属イオンを根から取り込むことができます。花弁に赤色色素であるアントシアニンを含む花類は、金属イオンであるモリブデン(Mo)を吸収すると、モリブデンとアントシアニンが細胞中で結合して安定した青い色素が作られることがわかりました。この現象を利用して栽培中の園芸植物に、モリブデンを根から吸収させることで花弁の色調を変え、新しい花色の花を咲かせる試みを行っています。育種法によらず栽培的手法で新しい花色を得ることができる技術です。
(主な内容)
●赤色の部分のみ青色に変化します。●白い部分はそのままですので自然な感じが損なわれません(葉や茎も緑色のままです)●切花にした後の棚持ちも通常のものと同程度です
(期待される効果・応用分野)
新色(特に青色)の花を既存の品種を用いて咲かせ、市場に提供することができます。現在、シクラメンとキク、チューリップについて、農家等と協力して実用化に向けての研究中です。色素と光や温度、ミネラル等との関係についても調べています。また、金属イオンを取り込み花色が変化する植物の属性は、土壌汚染の指標や土壌から有毒金属を取り除く環境修復技術への応用が期待できます。そのため、モリブデン以外の金属イオンの植物への吸収と色発現に及ぼす影響も調査中です。
(共同研究・特許などアピールポイント)
●特許第3831335号「既存のものと花色の異なる花を咲かせる植物の製造法」(発明者:渡部由香・宮内信文)
●特許第4967115号「金属イオンを用いた園芸作物の花の色改変法」
(コーディネータから一言)
品種改良によらずに花の新色を得る技術。実用化に向けて、栽培に挑戦したい農家への技術協力、共同研究を進めて行きます。興味を持たれた方は、お気軽にご相談ください。園芸以外に可能性が広がるご提案も歓迎します。
(研究分野)
園芸学 植物栄養学 植物化学
(キーワード)
園芸植物 園芸 観賞植物 花 花色 植物色素 アントシアニン モリブデン 金属イオン
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