アフリカチビネズミを用いた動物のサイズ調整機構の解明
- 公開日: 2024-07-04
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター
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【研究の背景および目的】
動物の体の大きさはどのようにして決まるのでしょうか?アフリカチビネズミは世界最小の哺乳動物のひとつとして知られ、実験動物であるマウスの1/10ほどの体重(3~5g)しかありません。私たちは、アフリカチビネズミを用いて、哺乳動物の体の大きさを決定づける調節メカニズムに関する研究を行っています。アフリカチビネズミの矮小性を形作る分子メカニズムを解明することで生命科学の発展に貢献するとともに、医療や産業へ応用することを目標としています。
【おもな研究内容】
①世界で初めてアフリカチビネズミiPS細胞の樹立に成功しました。三胚葉*1への分化能およびキメラ動物*2の発生への寄与を証明しています。
②アフリカチビネズミにおいて、体の大きさの調節に重要であると考えられるシグナル分子の遺伝子配列や発現を解析しています。得られた結果から、アフリカチビネズミの矮小性におけるキーファクターを同定します。
・例えば、アフリカチビネズミの成長ホルモン受容体の遺伝子をマウスやヒトと比較したところ、アフリカチビネズミでのみ異なる領域を発見。情報生物学的ツールで解析を行い、この領域がアフリカチビネズミの成長ホルモン受容体の機能に影響している可能性を見出しました。
【期待される効果・応用分野】
哺乳動物における体の大きさの調節メカニズムの一端を明らかにできれば、幅広い応用が可能であると考えられます。アフリカチビネズミという新たなバイオリソースから発見した分子メカニズムを医療に応用することで、がん細胞の成長や増殖を抑制する新規治療薬の開発が期待されます。また家畜動物の育種改良へ応用し、個体の大型化につなげることも可能であると考えています。異種間キメラの研究や、他種のゲノム編集動物の作製およびiPS細胞の作製等にも取組みたいと考えています。
【共同研究・特許などアピールポイント】
●アフリカチビネズミのiPS細胞を世界で初めて樹
立し、キメラ発生への寄与を証明しました。
Establishment of African pygmy mouse induced pluripotent stem cells using defined doxycycline inducible transcription factors. 2024. Sci Rep. 14 (1): 3204
【コーディネーターから一言】
極小哺乳類のiPS細胞樹立に成功、動物の大きさを決める分子メカニズムの解明に挑んでいます。本iPS細胞を素材とする共同研究や、ゲノム編集技術を用いて他のiPS細胞・ノックアウト動物の作製等のご要望にも応えられます。
研究分野:分子生物学、幹細胞工学、発生工学
キーワード:アフリカチビネズミ、Mus minutoides、体の大きさ、サイズ、iPS細胞
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