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アルコールが引き起こす臓器障害の発症メカニズム

  • 公開日: 2021-09-08
添付:PDFファイル

【研究の背景および目的】
鹿児島県は日本有数の焼酎の名産地です。酒は百薬の長と言われますが,飲みすぎると肝硬変・膵炎・脳疾患等を引き起こすことが知られています。これらの臓器障害はNAD+/NADH比の偏りや活性酸素(ROS),アルコールやアセトアルデヒドの直接毒性によって引き起こされると考えられていますが,結論は出ていません。私たちは飲酒による臓器障害の発症機序について,アルコール代謝の要であるアルコール脱水素酵素class I (ADH1),class III (ADH3)に注目して研究を行っています。

【おもな研究内容】
アルコールは肝臓でADH1によりアセトアルデヒドに分解された後、ALDH(アセトアルデヒド脱水素酵素)により酢酸に分解されて排出されます。しかし大量に飲酒した場合や,慢性的に飲酒している人はADH1がうまく働きません。このような場合,ADH1の代わりにADH3が代謝を行うと考えられています。ADH1とADH3は共に肝臓に最も多く,次いで腎臓に多く分布することが知られています。興味深いことにADH1の分布が肝・腎・腸などに限られるのに対して,ADH3は脳を含めた全臓器に分布することが明らかになっています。お酒を飲みすぎた時に記憶を失うブラックアウト現象には,脳に存在するADH3が深く関わっている可能性があります。また,ADH3はアルツハイマーの病態に深く関与することも報告されています。
そんな中,私たちは飲酒によりADH3が腎病変を増悪させる可能性を発見しました。
私たちは,独自の希少なADH1およびADH3ノックアウトマウスを飼育し
ています。このモデルマウスを使って、今までほとんど研究されていなかった
アルコールとADH3の関係に注目して研究を行うことが可能です。本研究は各臓器障害や免疫,胎児性アルコール症候群など様々な分野への応用が期待されています。

【期待される効果・応用分野】
法医学はアルコール医学と密接に関連します。近年、アルコール脱水素酵素ADH3についての様々な研究結果により,飲酒下でADH3が悪玉となり体内の臓器障害を引き起こす可能性が示唆されつつあります。私たちは,ADH3を阻害する薬剤を開発することで,飲酒下での臓器障害発症を抑制できるのではないかと考えています。私たちが保有する、独自に開発されたADH1及びADH3ノックアウトマウスを用いて、アルコール関連疾患の治療薬開発に寄与する研究を積極的に推進します。

【共同研究・特許などアピールポイント】
●現在,日本医科大学(免疫学・産婦人科・整形外科)・日本大学(法医学)・昭和大学(生理・病態学)・徳島大学(光科学)と共同研究を実施しています。国内外の研究者との共同研究を行いたいと考えています。
●法医学研究室では入浴死に関する県内14年間のビッグデータを解析。予防システムを開発中です。

【コーディネーターから一言】
アルコール代謝を行う酵素ADH3に注目し、飲酒による臓器障害への影響を研究。ADH3を阻害して臓器障害を治療する薬剤の開発を目指します。独自のモデルマウスを用いた共同研究を幅広く推進したいと考えています。

研究分野: アルコール医学 神経科学 脳科学 消化器内科 免疫学
キーワード: アルコール ADH1 ADH3 GSNOR

カテゴリ : シーズ(得意な技術・サービス等)
対象エリア: 国内 / 南九州 / 南西諸島域 / その他地域
有効期限 : 無期限

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