空間の視覚情報の定量化に関する研究
- 公開日: 2021-06-21
キーワード:建築意匠、VR、全天球画像
研究・地域連携活動の背景・目的
人が得る情報の8割から9割は視覚に由来し、視覚情報はそのダイナミックスさと即時性の
為に、他の感覚情報をも左右し、我々の判断に影響を及ぼすと言われています。我々を包
囲する空間の視覚情報に注目し、建築意匠の観点から空間分析を行います。
期待される効果などアピールポイント
これまで定性的に語られてきた空間の見え方を定量的な視覚情報として捉えることで、実際に
現存する建築空間について、建築家の意図や空間特性を考慮した定量的な分析が可能となりま
す。また空間の視覚情報を定量化することができるならば、計画の段階でその値を増やすことも
減らすこともでき、すなわち空間の視覚情報を人の視点から設計することが可能となります。
研究・地域連携活動の概要紹介
本研究は、VR(主にヘッドマウントディスプレ
イ型)の基礎技術にもなっている円筒図法を援
用した空間分析を行うことで、これまで定性的
に語られてきた空間の見え方を建築意匠の観点
から定量的に捉える研究です。空間を体験する
人の視点から、その主観性を考慮しつつ客観性
を確保する手段として、ある地点から見える空
間の全周(360°)をトリミングすることなく投
影できることが本手法の特徴です。任意の視点
から見える全ての視覚情報を投影することで、
各空間要素の視方向や視界を占める割合を、空
間の中で相対的に定量化でき、これら複数の全
周パノラマ画像を連続的に比較することで、人の移動を伴う視覚情報の連続や変化のよう
な継続的なつながりを分析することが可能となります。
本研究を通して、空間の視覚情報の意味について考え、体験する人の目線から表層を越え
た環境としての建築空間をデザインしていきたいと考えています。
本研究に盲点があるとしたら、それは目の見える人から見た視覚情報のみに由来している
ということです。今後の展望としては、得られた知見を元に視覚情報の量や性質を整理す
ることで、目の見えない人(視覚障がい者)が見ている「目に見えない」世界から建築デ
ザインについて議論することデザインが可能となると考えます。目の見えない人はその限
られた情報の中で特有のバランス感覚を持ち日々の生活を送っています。その目の見えな
い人が見ている「目に見えない」世界に価値を見出し、視覚優位の近代社会の中で忘れ去
られてきた「目に見えない」世界に文字通り“注目”することは、「目に見える」世界を再
構築する大きな手がかりとなり、ひいては将来の私たちが見る世界を議論することが可能
になると考えます。
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