ナノ分散性無機材料「可溶性ポリシルセスキオキサン」の合成
- 公開日: 2019-05-13
- 変更日: 2021-09-10
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット
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(研究の背景および目的)
プラスチックなどの有機材料とセラミックなどの無機材料を、分子レベルから数ナノメートルレベル で混ぜ合わせると、それぞれの材料では成し得なかった機能を発現するため、現在様々な分野でこの 有機-無機ナノハイブリッド材料が注目されています。しかし、無機材料は一般にナノレベルでの分 散が難しい点がハイブリッド材料創製における課題でした。本研究では、水などの溶媒に溶解するナ ノ分散性の無機材料であるポリシルセスキオキサンを簡便な手法により合成しています。
(主な内容)
ガラスやシリカゲルなどシロキサン結合(Si-O)を 骨格とする材料を合成する手法の1つにゾル-ゲル 反応が知られています。これは、アルコールなどの 溶媒中で、原料となるアルコキシシランの加水分解 とそれに続く重縮合反応により得られますが、通常、この反応からはシロキサン結合からなる不規則な三次元網目構造が形成されるため不溶性となり、可 溶性の材料が得られにくいという欠点があります。そこで本研究では、可溶性のSi-O骨格材料(ポリ シルセスキオキサン)を創製するために、分子構造 やナノ構造を制御する新しい手法を開拓しました。 この手法ではアミノ基含有オルガノトリアルコキシ シランの酸触媒によるゾル-ゲル反応により、ロッド状のポリシルセスキオキサンが合成されます。固体状態ではこのロッド状ポリマーがナノレベルで規 則的に積層し、一方、この材料に水を加えると透明 な水溶液が得られます(右図)。
(期待される効果・応用分野)
シロキサン結合(Si-O)を骨格とするガラスなどの無機材料は熱的・力学的・化学的安定性に優れてい ます。本材料のポリシルセスキオキサンはSi-O骨格材料でありながら、分散性に優れるため、プラ スチックなどの有機材料中にナノレベルで分散することが可能であり、有機材料の熱的・力学的安定 性を向上させることができます。このような有機‐無機ハイブリッド材料は、セラミックやガラスほどの耐熱性は必要としないが、プラスチックでは耐えられないような環境下での使用が期待されます。
(共同研究・特許などアピールポイント)
●前職の(独)物質・材料研究機構より有機-無 機ハイブリッド材料を中心に研究を行い、複数の 公開特許があります。本技術を利用し、ナノ分散 性の酸化チタンの合成についても検討中です。
(コーディネータから一言)
プラスチック中に本材料をナノレベルで分散(ハイブリッド化)することにより、プラスチックの耐熱性や耐久性、硬度が向上すると 考えられ、本技術を応用した、新たな有機-無機ハイブリッド材料の開発が期待できます。
(研究分野)
高分子合成 複合材料化学 超分子化学
(キーワード)
ハイブリッド材料 ゾル-ゲル反応 ポリシルセスキオキサン ナノ分散 シリカ ポリシロキサン
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