虚弱子牛症候群の発症要因と制御に関する研究
- 公開日: 2019-05-13
- 変更日: 2024-06-06
- 投稿者:鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター 研究・産学地域連携ユニット
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(研究の背景および目的)
近年、虚弱子牛症候群(weakcalfsyndrome:WCS)と呼ばれる子牛が多く出生しています。WCSは、原因が特定できないが様々な臨床症状から虚弱と診断される子牛の総称で、発育障害や低免疫機能による易感染性が認められ、飼養効率の低下や治療費の増加により生産性を低下させることから、生産現場での大きな問題となっています。私たちは、WCSの発生要因を様々な観点から解明して、疾病の発生を制御することを目的に研究を行っています。
(主な内容)
1.WCS子牛に対する母牛の影響妊娠中の母牛の状態がWCSの発生に関与していると考えられており、妊娠期の母牛の影響としては胎盤からの栄養供給、ホルモン分泌の異常、ストレスになどが原因として疑われています。これらが出生子牛に対してどのような影響を及ぼしているかを調査しています。2.新生虚弱子牛症候群(NWCS)の発生要因の解明出生直後から虚弱症状が認められる子牛はNWCSと言われ、先天的には母牛子宮内での発育障害が原因と考えられていますが、後天的には難産および初乳からの受動免疫不全が要因と考えられています。これらの因果関係を解明し、予防を行うための研究を行っています。WCSにみられる臨床所見3.哺乳および育成期におけるWCS子牛の病態解明出生直後は健康であっても、哺乳あるいは育成子牛へと発育する過程で虚弱症状を示す子牛もいます。これらは免疫機能が不十分であるため、感染症に罹患する症例も多く認められます。病気の子牛を減らすため、免疫機能低下の原因や免疫機能向上に関する研究も行っています。
(期待される効果・応用分野)
WCSは牛の飼養における大きな課題ですが、原因解明は進んでいません。牛などの産業動物は、治療等の生産コストを削減し、治療薬の使用量を減らすために、予防という観点での研究が主流です。しかし、効果的な予防を行うためには疾病の原因解明が必要。本研究を進めることで、WCS発生につながる危険因子を除くことができます。飼養目的と現場の状況に応じた対策を講じることによって、健康で安全性の高い牛を生産できる飼養環境を整えるお手伝いをしたいと考えています。
(共同研究・特許などアピールポイント)
●子牛の研究以外にも、親牛の周産期疾病や、繁殖障害に関する診断・治療について研究を行っています。●牛に対する治療薬の開発や、薬物動態に関する研究も行っています。
(コーディネータから一言)
全国有数の畜産県である鹿児島から、牛の生産性向上に寄与する情報を発信することが目標。獣医師、飼育農家、飼料メーカー、関係機関等幅広い業種と協力体制を築きたいと考えています。研究へのご協力をお願いします。
(研究分野)
産業動物 臨床獣医学 獣医繁殖学
(キーワード)
産業動物医療 牛 内分泌 栄養代謝 免疫機能
(ご注意)
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